2007年を振り返る⑥〜新作TVアニメ減少傾向その3
ポスト・エヴァは現れるか?
いずれにせよ、日本のアニメ産業の指標となるテレビアニメの作品数が少なくなるのは気になるところである。減少傾向でも売上が伸び続ければ問題はないが、余りに急激に落ち込むようであれば、それはそれで制作面(作品の質の維持、スタッフの育成などの観点で)での問題が多い。
これはあらゆるコンテンツに言えることであるが、質を保つためには量が必要である。立川談志が落語について「芸というものは、質が量を呼ぶんじゃなくて、量が質を生かしておくものなのだ。量があってはじめて娯楽は成立するのであって、やれ芸術だ、人間性だというのは貧乏人の発想であり、貧乏人はイデオロギーとか、知性とかしか生きる道がないのだから・・・・。」(『談志楽屋噺』)と語っているが、これはそのままマンガやアニメに当てはまる言葉である。粗製濫造と言われようとも、それにはそれなりの意義があるのだ。
2005年のテレビアニメ新作数は筆者調べで118作品であった(30分サイズ102タイトル。それ以外のサイズや単発の新作も入っているが、3分以内のショートアニメは省いてある)。2006年はそれを大幅に上回った。2007年は前年度よりかなり減ったものの、実は2005年より新作の製作数は増えているのである。
2007年から本格的な減少傾向に入ったかどうかは本年度、来年度の新作数を見るしかないが、今年の1月スタート作品を見ると前年より若干数を増やしている。大量に新作がスタートする4月新番を待たなければならないが、おそらく2006年が特別な年であった可能性が高い。
今テレビアニメに求められているのは、おそらく量もさることながら圧倒的な革新性を持った作品の登場であろう。庵野監督がいみじくも言っていたように、ここ12年間でエヴァを超えるような新しさを持ったアニメが登場したとは言い難い。そんな作品は滅多にあるものではないが、そろそろポスト・エヴァ(ポケモン)作品の出現が待たれる頃である。
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