プロデューサーズ 成功したプロジェクトのキーマンたち』プロデューサーズ制作チーム・編『(誠文堂新光社1,600円税別)
様々なプロジェクトを支えるプロデューサー
前回の『トップ・プロデューサーの仕事術』に続くプロデューサー本である。プロデューサーという文字を見つけると反射的に買い求めてしまうクセがあるようで、この本も内容を確かめずに買ってみた。
この本に出てくるプロデューサーは前回登場のコンテンツプロデューサーたちよりさらに幅広いジャンルの人間達であり、コンテンツ業界もあればビールメーカーのマーケティングマンから銀行マンにまで多岐に渡っている。
登場するプロデューサーは、エビス〈ザ・ホップ〉のマーケティングを指揮したサッポロビールの立山正之、スタジオ4℃の田中栄子さん、VJソフトの標準「motion dive」を企画したデジタルステージの平野友康氏、ECコマースの感動食品スーパーオイシックス代表の高島宏平氏、Xbox360『ブルードラゴン』のプロモーションを指揮した内山光司氏、絵本シリーズ『くまのがっこう』の原作者でバンダイキャラクター研究所の相原博之氏、アートディレクター佐藤可士和氏の妻にしてマネージャーである佐藤悦子氏、リノベーションを得意とする都市再生プロジェクトの建築家佐藤弥氏、地域活性化に取り組むりそな銀行地域サポート本部の藤原明氏など実に多彩である。
4℃の田中栄子氏が『鉄コン筋クリート』をデートムービーにしたいと考えていたと述べている。改めて言われてみるとなるほどそうなのかと思うし、配給のアスミックエースもその種の観客層を得意とする配給会社なので互いに思惑が一致したのであろう(思えば『マインドゲーム』もアスミックの配給だった)。デートムービーとなるアニメ。硬派のマッドハウスやプロダクションIGには思いもよらぬ発想である。さすが女性経営者の発想であろう。
バンダイキャラクター研究所の相沢氏の存在も面白い。テレビアニメでマーチャンをガンガン仕掛けてくるバンダイにあって、地味とも思える絵本でのキャラクター展開に挑戦している。もちろんアニメキャラクターの研究も行っているのだろうが、その辺りの落差を敢えて意識しながら仕掛けているのであろう。
と、止めどもないが非常に読みやすいので一度手にしては如何であろうか。
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