Vol.8〜第一部手塚治虫とマンガ〜第一章マンガ大国ニッポン
4 意外なアメリカのコミック事情
コミックスの本場であるアメリカであるが実は意外なマーケット事情を抱えているのである。風刺マンガなどを除いたアメリカの物語出版は大きく次の三つのジャンルに分かれる。
① 一世紀以上の歴史を持つ新聞連載漫画
(newspaper strip/「ピーナッツ」「ブロンディ」「ガーフィールド」など)
② スーパーヒーローものを中心とするコミックブック出版のメインストリーム・コミックス
(main stream comics/「スーパーマン」「バットマン」など)
③ マンガ家が個人で出版、或いは小さな出版社から出ているオルタナティブ・コミック
(alternative comics/「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」など)
(小野耕世『アメリカン・コミックス大全』晶文社)
我々が通常アメコミと呼んでいるのは②のメインストリーム・コミックスのことで、その歴史は1934年設立のDCコミックと1939年設立のマーベル・コミックの二つのコミック出版社と共にあったといってもよい。DCコミックは「スーパーマン」や「バットマン」、マーベル・コミックは「スパイダーマン」や「超人ハルク」「X—メン」といった人気シリーズを持っており、実際、アメコミ市場を取り仕切る独占的なマスター・ディストリビューター(総合取次会社)であるダイアモンドコミック・ディストリビューションの2005年における流通シェアにおいて、マーベル42%、DCコミック37%と、この二社でほぼ80%を占めているといった状況にある。
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