Vol.9〜第一部手塚治虫とマンガ〜第一章マンガ大国ニッポン
意外と市場規模が小さいアメコミ
今回調べてみて意外だったのはアメコミ市場の規模が予想外に小さかったということである。
アメコミには幾つかの黄金時代があったが、その頂点はおそらく新シリーズの「X-メン」創刊号が800万部売れた1991年頃である。当時は投機目的でコミックが買われるた90年代前後はいわゆるバブル的な状況であった。しかし、その状況も長くは続かず90年代後半になって急激に市場が縮小、「X-メン」でも刷部数15万部といった状況になり、マーベル・コミックは破産状態に追い込まれ会社更生法申請を余儀なくされた。DCコミックはワーナーブラザーズの傘下にあったため危機を免れたが、いずれにせよアメコミの市場は元に戻ってしまった。
その後、マーベルはオーナーが玩具会社変わったこともあり、キャラクター商品に直結する映像ビジネスに力を入れ、「スパイダーマン」「X-メン」「超人ハルク」「ファンタスティック・フォー」といった作品の映像化ライセンスを積極的に行ったため、ライセンス収入や玩具ビジネスの売上が大幅に伸び、NY市場に再上場して復活を遂げたがコミック部門は相変わらず伸び悩んだままである。
そのマーベル・コミックにおける2007年度のコミックス売上を見ると出版部門の売上は1億2,570ドル(約138億円、1ドル=110円)と全体売上の四分の一強に過ぎず、今のマーベルの主要売上はコミックの映画化やキャラクターのライセンスによるものとなっている。実はアメリカのアメコミ市場を二分するマーベル・コミックであっても売上は約486億ドル(約534億円)で、講談社(1,443億円)や小学館(1,413億円)などと比べると三分の一足らずなのである。アメリカでは総合出版社がコミックスの進出していないためであるが、この数字からもアメリカのコミック市場のレベルが伺えるというものである。
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