『ジャパンクールと情報革命』(奥野卓司/アスキー選書752円税別)3
神と信者の信頼関係
奥野氏の「お布施理論」は曰く情報社会ではパッケージ産業のように製作者が価格を決定するのは困難である。従って、「見てのお帰り」のように軽く御布施する気持ちでの課金が有効であるというのが主旨である。
情報産業の始祖である宗教の原点に立ち返ってみると、信者(ユーザー)は神(製作者)が発する教え(コンテンツ)に対して有り難く御布施する。この関係性の原点に立ち戻れということである。
なるほどとは思う。しかしながら、実際情報産業の末端(ケータイ電話によるアニメ配信)をやっている人間としては実際どう応用すればよいのであろう。料金を安くし広く薄く儲けろということなのか。
ひとつのソリューションとしてあるのが宗教における神と信者のような関係を築き上げることであろう。要するに信頼関係である。当たり前の話であるがこの関係がない限り御布施は頂けない。
目に見えないものに対して対価を支払うのは極めて困難である(厳密に言うと御布施は対価ではないが)。その究極的なビジネスモデルを成立させているのが宗教である。それを考えると、結局大切なのはユーザーが「有り難い」と思えるサービスを提供することで築き上げられる信頼関係が目指すべきビジネスモデルなのであろう。グルッと回って原点にたどり着いたということか。
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