『新聞・TVが消える日』(猪熊健夫/集英社新書735円税別)
おどろおどろしいタイトルに引かれて購入してみたら実に真っ当なメディア&コンテンツ案内本であった。著者は2005年に『日本のコンテンツビジネス−ネット時代にどう変わる』という本を出しており、今回のはその新書版といった趣である。
よくまとまった内容で特にネットにおけるテレビ番組流通のシステムに詳しい。この問題については音楽のシンクロ問題や役者の隣接権問題を抱えており、要は放送局のやる気次第でなかなか前に進まなかったのであるが、広告収入減を補うため各局共に事業収入の活性化が大命題となったため確実に前進しつつある。実際ケータイでコンテンツを配信しているので各局の動向がよくわかるのだが、今年から来年にかけてかなり本格化するのではという予感がある。
気のせいかも知れないが、この種の四大マス、特に紙媒体の悲観論を述べるのに毎日新聞の人が多いような気がする。以前紹介した『新聞社 破綻したビジネスモデル』(新潮選書)を書いた河内孝氏も元毎日新聞の方であった。部数的に読売新聞、朝日新聞に大幅に差をつけられ危機感を持っている人が相当いるのではないだろうか。読売新聞や朝日新聞の様に頼みの綱となるキー局テレビ(そのテレビ局も昨今大変であるが)があるわけではないので問題意識は深刻であると思われる。
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