『世間さまが許さない!』(岡本薫/ちくま新書740円税別)
目のウロコが3枚は落ちる本
本書はこのブログでも度々取り上げた書籍『著作権の考え方』の著者である岡本薫氏の最新作である。文化庁の著作権担当の課長を経て現在政策大学院大学の教授を務めているそうである。
『著作権の考え方』では氏は日本人にはお上頼みの傾向があると指摘しており、なるほどと思い当る節があったのであるが、本書ではなぜそうなるのかについて分析がなされている。読んで再びなるほどと合点した。
氏が著作権課の課長時代に体験した権利者団体の物言いが面白い。大概の権利者団体は自分たちが正しく相手が間違っているという。そして、自分たちの主張こそ世間の常識であるといい、時にはルールを超越した論理(というか言い分)をぶつけてくる。
なぜそのようなことになるかと言えば、同質性が高い日本では相対化が難しく自分たちは世間の常識=世間様の考え方であるという感覚にとらわれるからであると氏は述べる。つまり、相手も自分と同じ考えを持っていて当然であるという感覚である。
氏曰く、このように外的な規範が内面を支配する社会(日本では世間、イスラム教などの宗教では神、社会主義圏における共産主義=全体主義)においては「自由と民主主義」は似合わない。内面の自由が確立されていない限り「自由と民主主義」は成立し得ないというのはその通りであると合点した。(次に続く)
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