人材育成の実態調査15〜アニメ企業推定総従業員数算出
今回アンケートを実施したアニメ制作企業について、その調査結果から、日本のアニメ企業の総従業員数の算出を試みた。ただし、今回の調査票では「従業員」について、雇用形態などの定義を定めておらず、その回収率からも業界全体をカバーしたものではないので、あくまで参考程度にとどめておく必要がある。
(推定方法)
1) アンケートで得られた各企業の従業員を回答率(回答企業数÷List企業数)で割り、各ジャンルList企業数における総従業員数を推定する。
2)
次にList企業のアニメ業界におけるカバー率を推定し、上記1)で出した数字から業界全体の総従業員数を導き出す(List企業数における総従業員数÷List企業のアニメ業界におけるカバー率)。
まず、最終的な人員を推定するためのListカバー率であるが、元請等の比較的大きな企業が集まっているグループはかなり高いのではないかと考えられる。グロス、作画、動仕と規模が小さくなるにつれその比率は低くなる。今回の調査でも、ホームページを持たないため住所がわからないスタジオが多数存在していることが判明したが、それらはおそらく作画や動仕企業である可能性が高いと推定される。そのため、上記のようなカバー率とした。
アニメ業界の制作系企業の総従業員数の推定は1万1,522人と算出された。数値的には少ないとも考えられるが、フリーの職種が多い業界であるので想定の範囲内とも言えるかもしれない。
予測されていたことではあるが、改めてアニメーターの企業所属率が低いことが実証された。おそらく毎年1,000名近い新人動画マンが生まれているのであろうが、キャリアアップした原画マンは新人の倍程度しか存在しない。美術マンが新人のほぼ10倍いることから類推するに、その多くが途中で諦めて離職する、あるいは独立を果たしていることが予測される。
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