〜第三章「海外におけるアニメビジネスの歴史」2
海外での日本のアニメビジネス2
結果論としての海外進出
結論から言ってしまえば、日本のアニメは「売った」のではなく「売れた」のである。最初から海外展開の意志を持ってマーケティングし、かつ成功したのは、日本の中で大川博くらいなものではないか(不思議なことであるが、かつて海外をターゲットと銘打って成功した例はアニメに限らず少ない)。
考えてみれば、海外で評価を勝ち得た日本の映像作品はハナからそんな意識を持ち合わせてはいなかった。黒澤明然り、溝口健二然りである(座頭市やソニー千葉も)。従って予めビジネス的な準備をしていた訳ではない。それを裏付けるように、名声は轟いたが実際はそれほどビジネスになっていない。
そもそも、海外で売ろうという意識自体が最初から欠如しており、それもあってか肝心の流通網が打ち立てられていない(まあ、ハリウッド以外どの国もそうなのだが)。テレビ番組などは個々にセールスしてもパワーがないのでCICのように合同で流通させる会社でも立ち上げれば良いと思うのだが。世界的な流通チェーンを持っているのは、現在日本ではアニマックスくらいなものである。そして、これも大本はソニーピクチャーズである(一応親会社はソニーで日系だが、実態はやっぱりハリウッド系)。
2000年にポケモンが世界テクブレイクを果たし、一気に海外進出を果たしたかに見えた日本のアニメであるが、ポケモンのクールダウンに合わせて沈静化。2000年代中盤以降、主要アニメ企業における海外販売の数字は徐々に下がりつつある。
問題は山積み。まず、ネット&コピー社会になって極めてマネタイズしにくくなったこと。人気があるのにお金にならないもどかしさ。さらに、『もっとわかるアニメビジネス』の巻末にも述べたが、日本のアニメを特徴付けている表現が世界スタンダードと異なっているという点。テレビ中心の日本にとってこの問題は大きい(まあ、劇場アニメでもそうなのだが)。
コメント