第四章&五章「激動の10年 テレビアニメ篇 劇場アニメ篇」9
アニメ生態系の頂点にあるもの1
日本のテレビアニメを支えているキッズ・ファミリーアニメ
日本ではテレビが映像生態系の頂点にあると書いた。もちろん、日本のアニメもその生態系に準じて生きたのであるが、その実態はどのようになっているのであろうか。
今回、『もっとわかるアニメビジネス』では、2000年〜2010年の11年間にわたるテレビアニメの制作分数について検証した。その結果、日本のテレビアニメを支えているのはキッズ・ファミリーアニメであるという結論に至った。
世界的に有名な日本のアニメというと、「クールアニメ」といったような評価があるように、どちらかと言えば大人向けのアニメ、あるいはファン向けのアニメという印象が強いが、その要因を考えてみると、
① 作品数が多い。ヒットすれば延々と続くキッズ・ファミリーアニメと違い、大人向けの作品はほとんどがワンクール、ツークール。従って、需要を満たすためには作品数が多くなる傾向がある。そうなると、ほとんど作品が固定してしまっているキッズ・ファミリーアニメより評価されるチャンスが多くなる。
② ファンの情報発信力。大人向けアニメのファンは、大体中高校生以上であり、キッズ・ファミリーアニメの対象となり小学生以下の層より情報発信力が高い。情報発信といっても、SNSやツイッツターでの書き込みといったものであろうが、それが一定量以上になるとひとつの力となる。
といったようなことで、どうしても大人向けアニメの方が目立つのではあるが、実際アニメビジネス的な視点で見れば、キッズ・ファミリーアニメの方が主力なのである。
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