『東京大学のアルバート・アイラー』(歴史編&キーワード編)
(文春文庫/歴史編税別600円、キーワード編税別686円)
菊池成孔+大谷能生
アニメとMIDI
菊池成孔+大谷能生コンビ最後の紹介本である。
十二音平均率にとらわれていた音楽理論を思いっきりポピュラー向けに解放したバークリー・メソッド。その役割がMIDI(Musical Instrument Digital Interface=思いっきりベタなネーミングですね。わかりやすく訳すと「音楽器機をつなげるデジタル規格」でしょうか)の登場で終焉を迎えつつあるという。
しかし、1982年に行われたMIDIの規格統一は凄かった。音楽シーンを一変させ今に至っているが、これを主導したのが日本の楽器メーカーであった。ヤマハ、カワイ、コルグ、ローランドなどである。その中心は1972年設立の新興楽器メーカー、ローランドであった。
アニメも現在音楽で行われたデジタル化のまっただ中にいる。撮影、仕上げあたりからはじまったデジタル化がどんどん上部工程に移りつつある。美術がもうすぐ終わればその先は作画である。
アニメ制作にも、レベルは違うだろうが劇的に制作工程を変化させたMIDIの様な規格統一に対する試みがあってもよい様な気がする。あるいは標準化。
先んじてデジタル化を成し遂げた音楽にはまだまだキャッチアップ出来る側面が多い(「楽譜」通りにやるとアニメがつくれるとか。あるいは規格統一。Anime Production Digital Interface?でしょうか。略してAPDI。メイクセンスしてるかな?)。それを考える上でも本書は刺激になる。
(蛇足ながら・・・)
文庫とはいえ440ページもあって686円とは安いですな・・・・