イエス小池『漫画家アシスタント物語』(マガジン・マガジン刊1,300円税込)
マンガアシスタントという職業
本の帯に竹熊健太郎氏の「全漫画家志望者必見!!」という推薦の言葉があるが、マンガ家やアニメーターなどの職種(実は音楽なども含めたクリエィティブ職全般に言えるのだが)を目指している人間には非常に興味深い本であることには間違いないであろう。
筆者は1955年(昭和30年)生まれだから現在53歳か54歳になる。19歳の時にマンガ界に入り、かわぐちかいじ、村野守美などの元で働いたのちジョージ秋山のもとで30年以上に渡って現役のアシスタント務め、その体験をウェッブで書き連ねていたのが編集者の目に止まりこの本になったとのことである。
筆者は好んでかくも長きアシスタント人生を歩んだわけではない。多くのアシスタントがそうであるように、筆者も一本立ちを夢見て自分の作品を描き続ける。そして、その努力は実を結び「ヤングジャンプ」の青年漫画大賞を受賞する。
しかし、そのあとが続かない。32歳で念願のデビューを果たしたとき、既に疲れ果てておりストーリーやアイデアが出てこない。「初日の舞台で台詞を忘れた俳優のように・・・」と書かれているが、「デビュー、連載、漫画家へ・・・」という夢はデビューと同時に消えてしまったとある。
それ以降、連載や単行本刊行などもあったが基本的にはジョージ秋山のアシスタントとして現在に至っている。その30年以上に渡るアシスタント生活から導き出された「血の教訓」は以下の如くである。