『中国動漫新人類』に見る中国動漫事情2〜中国に対するイメージ
正直、今までの触れていた中国のイメージはよくなかった。海賊版問題以下、日本のアニメにとって好影響と思われる題材は確かに少ない。
前回述べた放送規制やDVD規制に関しても如何なものかと思われるが、筆者が過去中国関係の話で一番驚いたのはクレヨンしんちゃん事件である。正規の権利者に先んじてあざとく商標登録を取るという行為は日本などでもない話ではないが、それを裁判所に訴えて権利者が負けてしまうというのにはいささか驚いた。日本人なら大体このあたりでやる気を失ってしまう(このへんが欧米人と違うところであろうが)。
この種の話は山のようにある。日本のアニメ製作会社が中国の動漫コンベンションに誘われて出展したところ、同じ会場内でその会社の海賊版をセールスする業者が堂々とブース開いていたそうだ。抗議すると翌日そのブースは空になっている。そして、空のブースが日増しに増えて行く・・・
極めつけは2006年にバンダイが中国の委託生産先と結んだ契約であろう。これは中国の協力工場200社のうち40社と商標使用のライセンス契約を結ぶというものであるが、これがなんとタダなのである。その替わり契約先が違法コピー商品を生産した場合には違約金を支払うことになっているのであるが、海賊版阻止のためとはいえ考えられない措置である。
今でも日本の動漫を取り巻くビジネスの状況は相変わらずであろうが、この本のおかげで少なくとも若者のレベルでの熱心な中国動漫ファンにはストレートに好感を持つことができた。相変わらず腰が引けつつも中国の動漫環境に関して少しは前向きに考えられるようになったのは事実である。