Vol.4〜第一部手塚治虫とマンガ〜第一章マンガ大国ニッポン
2 世界のマンガ事情
世界のマンガ事情はどうなっているのか?
日本では出版物の3冊に2冊がマンガ雑誌・コミックである。この状況を我々はごく当たり前のことと捉えているがこのような国は世界中どこにもない。世界の出版状況を伝える『出版年鑑2008年』版を見ても、アメリカ、ドイツ、フランス、ロシア、中国、韓国各国の出版ジャンルの中でコミックスの項目があるのは韓国くらいなものである。
つまり、どの国でもコミックスがひとつのジャンルを形成できるほどのシェアに達していないということだ。という事情もあって各国のコミック出版状況はデータにフローしにくく、年度の統一性もないのであるがその刊行状況をまとめたのが以下の数字である。
〈年間コミックス刊行点数と出版物総刊行点数に対し占める割合〉
国/年度/コミックス 刊行数/総書籍刊行点数/比率
日本/2007/11,368点/81,061点 /14.2%
ドイツ/2004年/752点/86,543点/0.87%
フランス/2006年/4,130点 /55,000点 7.51%
スペイン/2005年/1,139点 /69,598点//1.64%
韓国 /2007年/7,290点/41,094点/17.74%
(出版科学研究所『出版指標2008年』版及びジェトロの各調査資料による)
*ドイツのコミックスは初版出版点数(74,074)に占める割合
〈年間コミック発行部数と総書籍発行部数に占める割合〉
国/年度/コミックス発行部数/総書籍発行部数/比率
日本/2007年/519,940,000冊 /755,420,000冊/68.83%
スペイン/2005年/13,880,000冊 /321,500,000冊 /4.32%
韓国/2007年/18,096,187冊/132,503,119冊/13.66%
(出版科学研究所『出版指標2008年』版及びジェトロの各調査資料による)
* 日本とイギリスは販売部数、ドイツは生産部数、韓国は発行部数となっている。
〈2007年コミックス刊行1点当たりの平均販売部数〉
国/コミックス発行部数/総書籍発行部数/コミックス平均発行部数
日本/2,822点/517,940,000冊/183,536冊
韓国/7,290点/18,096,187冊/2,482冊
(出版科学研究所『出版指標2008年』版と出版ニュース社『出版年鑑2008年』版を元に作成)
数字の上から見た日本のコミックス状況
まずコミックスの刊行点数面から見てみよう。私の調べでコミックスの刊行点数がわかったのは日本、ドイツ、スペイン、韓国の四ヶ国であるが、やはり日本の刊行点数が11,368点と一番多い。2位の韓国は4,000点、その次のフランスとは7,000点の違いがある。この刊行点数の面で注目すべきポイントは出版物の総刊行数に占めるコミックスの割合において韓国が一番高い数字を示しているという点であろうか。日本が14.2%というのに対して韓国は14.7%となっている。
しかし、これを発行部数の観点から見ると日本と韓国の違いがハッキリする。日本のコミックス発行部数が5億2千万部で総発行部数に占める割合が68.8%もあるのに対し韓国はわずか1千8百万部、割合もわずか4%弱に過ぎない。コミックス一点計の平均発行部数が183,536部であるのに対し、韓国は2,482部である(日本はマンガ雑誌が多いのと100万部売れるようなベストセラーがゴロゴロあるためであろうが、やはり断トツの数字を誇っていると言わざるを得ない。