アニメ右肩上がりの要因3〜ファイナンスシステムの多様化による牽引効果
ファイナンスシステムの多様化②〜製作委員会によるファイナンス②
製作委員会が主流になった理由
そんなテレビアニメの世界にも1990年代中盤から製作委員会スタイルによるファイナンスが登場した。この手法は、一般的に投資リスクの回避や、参加企業による運用・プロモーション効果が見込めるという利点が強調されているが、実は歴史的に見てこのようなスタイルになるのは1980年代以降のメディア展開を見ると、ある種当然ともいえたのではないかと思われる。
ビデオのない時代にテレビアニメの映像の権利を持っていても余り意味がなかった。映像自体が収益を生むのは地上波での放送だけであった(希に海外販売、あるいは16㎜で制作されていたテレビアニメのフイルムを再編集し、映画版にするという手段もあったが)。それがビデオの登場で映像の権利自体が収益つながる時代が訪れたのである。
ビデオの収益を当て込んだアニメを製作する場合、ゴールデンタイムでのオンエアーは必要がないことは前に述べた。しかしながら、これらの作品がオンエアーされる深夜帯にしてもそれなりの提供費がかかる。ただでさえスポンサー獲得が難しい深夜帯に、対象が限られているファン向けのアニメ番組にクライアントをつけるのは容易ではない。従ってその作品の収益展開かかわる企業で枠代を持ち合うようになり、それが進んで製作費も持ち合うようになる。その意味で、この製作委員会方式は、かつてはスポンサーからの制作費が、そのまま製作投資に振り替わったという見方もできる。