鈴木敏夫『仕事道楽』(岩波新書/740円税別)
今まで一番詳しいジブリ事情
ポニョ関連本ではないが公開に合わせてジブリ関係の本が幾つか出たので紹介したい。一番最初はジブリのプロデューサーである鈴木敏夫氏の本である。今までのジブリ本の中で一番内情?が詳しく語られているので、是非読まれることをお薦めする。読みやすく面白いのでアッという間に読了できるであろう。
まず鈴木氏と深くかかわった人間について多くのページが割かれている。最初はアニメージュに鈴木氏を引っ張り込んだ尾形英夫氏。アニメージュを創刊しナウシカの映画化を真っ先に提案した人である。その意味ではジブリの生みの親とも言える人間であるが、本人にはそんな気取ったところは微塵もない。鈴木氏が「ともかくおもしろかった」と語る尾形氏のエピソードは読んでおいて損はない。出来れば尾形氏の著書『あの旗を撃て!』も一緒に読んで頂きたい。
尾形氏の次に登場するのは高畑、宮崎のご両名である。読めばわかるがなるほど濃い付き合いである。三人の関係性を語るエピソード満載でどれも興味深く面白い。このトライアングルというかトロイカ体制がジブリの秘密であろうが、いずれにせよ高畑、宮崎という希代のディレクターを御せることが出来たプロデュース能力は偉大である。
それで、最後に登場するのが徳間康快である。この人は永田雅一などに連なるオーナープロデューサーの系譜の人間であるが、豪放磊落なイメージの裏で語られるエピソードがこれまた面白い。読んで損はない一冊である。
全然関係ないが先日甲州街道と環六の交差点で信号待ちをしていたら、上原の方から来た青いミニが左折した。中に鈴木さんが乗っていたような気がしたのだがあれは幻か?隣りに女性が居たが、以前井の頭線で鈴木さんを見かけたときにも女性と同乗していたが同じ人なのであろうか。井の頭線の方は間違いなく鈴木さんだと思ったのは激しくビンボーゆすりをしていたからである。